脊柱管狭窄症 、間欠性跛行

今回は2,020年代に脊柱管狭窄による、間欠性跛行を訴えて来院された60代 女性の臨床例です。

脊柱管狭窄症の特徴である間欠性跛行と腰痛とふくらはぎ痛、すねの痛みがありました。

症状はすべて右側に出ていました。

少しでも歩くと腰とふくらはぎとスネが痛くなり、歩けなくなる。スーパーなどの冷えた場所に行くと特に痛みが強くなりカートに寄りかかり前傾姿勢で歩く。

こちらの患者さんは、旦那さんの介護でやや寝不足気味もあり心身の疲労がありました。

約4ヶ月間の治療の経過を記しました。

院長

鍼灸治療院たけしたブログ 管理人

はり師・きゅう師 国家資格 有資格者

(はり師:第 140155 号 きゅう師:第 139966 号)

臨床歴15年

予診票

初診日

2,020年代 11月28日

性別・年齢

女性 68歳

主訴

間欠性跛行、腰痛、ふくらはぎとスネのしびれ

現病歴

今年の5月から

ペインスケール(痛みの度合い)

一番辛い時を10としたら、今は8

病院での診断

椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症

その他の症状

眠りが浅い、胃痛(痛み止めによる)、首・肩・脊中が凝る、足が冷える、イライラする

体温・血圧・血糖値

35.5度・130-70・A1c 7.0

薬の服用

ロキソニン、降圧剤、コレステロールの薬、インスリン

治療経過

1回目 X年11月28日

心虚証
はり治療
右神門、右太衝、中カン、巨闕、右期門、フ陽、飛陽、殿頂、大腸兪、脊中、左脾兪、神道、腰陽関、上仙、
きゅう治療
右フ陽、大腸兪、腰陽関、上仙
評価
・足が温まる、顔が少し明るくなる

2回目 12月1日

腎虚脾虚証
・悪天候と寒さのせいで痛みが強い。
・右の臀部・太もも裏・ふくらはぎにかけて痛い。
追加治療
右腸骨点、右小腸兪
評価
・上仙の下の凹みに鍼をした後、痛みが軽くなった。

3回目 12月5日

腎虚脾虚証
・12/3は痛みが強かった。
・右のスネがジンジンする。
評価
・右のスネのジンジンが和らぐ。

4回目 12月9日

腎虚脾虚証
・治療した日は痛みが少ないが、翌日から痛みが出だす。
・ペインスケール 8→7
評価
・ふくらはぎの痛みが軽くなる

5回目 12月12日

腎虚脾虚証
・今日はいつもより痛みが軽い。
評価
・初診時よりふくらはぎの硬さが柔らかくなる。

6回目 12月16日

腎虚脾虚証
・火曜日は調子が良く、買い物で足を引きずらずに歩けた。
・痛みは軽くなっている。
・今日は右でん部と右股関節が痛い。

8回目 12月23日

腎虚証
・火曜日は痛かった。
・昨日は痛みは出たが、カートを使わずにイオンを歩けた。
・最近はでん部の痛みを訴える。
評価
・でん部の痛み軽くなる。

10回目 X+1年 1月6日

脾虚証
・歩き出す時、左の股関節にしびれが出る。歩いていると楽になる。
・理学検査でソケイ部に痛み、右に比べると硬い。
・痛みはふくらはぎより腰、でん部、太もも裏に感じる。
・買い物時はカートには頼るが前のように痛まない。
・痛みは軽い日もある。

11回目 1月13日

脾虚肝実証
・鍼灸治療をした日の次の日が痛く、その後はいい日と悪い日がある。

15回目 1月27日

脾虚肝虚証
・自発痛は減っている。
・動いた時に腰、でん部、下肢が痛くなる。
・数日前、左胸の上部が痛かった。
・漬物を食べて胃が痛い。

16回目 年1月30日

腎虚証
・腰とふくらはぎの痛みはほとんどない。
・頭痛とくちびるの痺れ感。
追加治療
・肩こりの治療

17回目 2月6日

腎虚証
・昨日、作業をしてふくらはぎと腰が痛い。
・頭痛とくちびるの痺れ感ない。
評価
・腰が軽い。太もも裏のだるさなし。
・治療間隔を1週間おきとする。

18回目 2月13日

脾虚肝虚証
・1週間で痛み止めを使用したのは2回。
・庭を5分間ならウロウロ出来る。。
評価
・でん部のだるさ半分軽い。

22回目 3月13日

肝虚肺虚証
・昨日、1時間草取りをして右臀部が痛い。
・前回から1週間以上の服用なし。
評価
・右でん部の痛み軽い。

23回目 3月20日

脾虚肝虚証
・腰痛。
・昨日は嘘のように調子が良かった
・便秘気味だったが、先週は4日連続で便通あり。
評価
・訴えは軽い腰痛のみになった。

24回目 3月27日

脾虚肝虚証
・軽い腰痛。
・10分間は歩ける。
評価
・20分の歩行できるようにと指示して治療終了。

まとめ

まとめ
私の見解

約4カ月、24回の治療で、間欠性跛行、腰痛、ふくらはぎとスネの痛みがほぼ完治しました。

病院での検査で脊柱管狭窄症と椎間板ヘルニアによるの診断を受けていました。

私の経験でも、このような合併症は記憶にありませんでしたが、脊柱管狭窄症も椎間板ヘルニアによる坐骨神経系の痛みも治療法はほとんど変わらないので時間はかかるけど良くなるだろうと思っていました。

初診時は、痛み止めの副作用により胃の痛みも重なり、辛そうな顔をしていました。

回数を重ねるごとにでん部、太ももの裏、ふくらはぎ、スネの自発痛が改善していきました。

太もも裏からふくらはぎ、スネの自発痛が軽くなるにつれて痛みの訴えは腰とでん部になっていきました。

治療の最終日には「10分間は歩ける。」と報告がありました。

あとは、20分間の歩行を目標にウォーキングを続けるように指示しました。

なぜ、20分間かというと運動は連続して20分間すると効果があり、それが糖尿病の悪化を防ぐことにつながるからです。

このような慢性疾患の場合は続ける事がとても大切です。

こちらの患者さんは定期的に欠かさずに通院して無事にほぼ完治しました。

治療の最終日は「お世話になりました。」と喜ばしい言葉を頂きました。

今回の症例は、60代女性の脊柱管狭窄症と椎間板ヘルニアの治療の記事でした。