膝が痛い 女性

今回は2,020年代に左膝裏と左ふくらはぎの痛みを訴えて来院した80代女性の臨床例です。

発症した状況

  • 2~3ヶ月前から歩くと痛い

来院時の状況

  • 仰向けの状態で膝を曲げると痛い

約2ヶ月間の治療の経過を記しました。

院長

鍼灸治療院たけしたブログ 管理人

はり師・きゅう師 国家資格 有資格者

(はり師:第 140155 号 きゅう師:第 139966 号)

臨床歴15年

予診票

チェックリスト
初診日 2020年代 2月18日
性別・年齢 女性 89歳
主訴 左膝裏と左ふくらはぎの痛み
現病歴 2~3か月前から痛い
既往歴 記載なし
理学検査 膝の屈曲(+++)
ペインスケール(痛みの度合い) 記載なし
病院での診断 湿布しかできない
その他の症状 特になし
日常生活で困る動作 歩く時
体温・血圧・血糖値 記載なし・120-60・記載なし
薬の服用 降圧剤、ホルモン剤

治療経過

建物 時計

1回目 X年6月21日

東洋医学的診断

肝虚証

はり治療

右曲泉、右陰谷、左飛陽、左フ陽、委中、左殿圧、

きゅう治療

左フ陽、左大腸兪、腰陽関、右肝兪、右腎兪

治療後評価

  • 少し軽い

2回目 2月19日

東洋医学的診断

腎虚証

追加治療

左殿頂

経過

  • 右足首が腫れている
  • 昨日よりは少し軽い

治療後評価

  • 記載なし。

3回目 2月21日

東洋医学的診断

肝虚証

追加治療

上トク鼻、左環跳

経過

  • 左膝裏と左ふくらはぎの痛みはほとんどない
  • 今日は両方の膝の前側が痛い

治療後評価

  • 記載なし

4回目 2月22日

東洋医学的診断

肝虚証

追加治療

なし

経過

  • 右膝は痛みが軽いが、左膝が気になる
  • 昨日は「グッスリ眠れた」と喜ばれる

治療後評価

  • 歩き方も、ベッド上での寝返りも速くなっている

5回目 2月24日

東洋医学的診断

腎虚証

追加治療

なし

経過

  • 住まいの周りの方から歩き方が良いと言われる
  • 右足首周りの腫れが引いた

治療後評価

  • 体の向きを変えるのが楽になった

6回目 2月25日

東洋医学的診断

肝虚証

追加治療

中カン、曲池にお灸

経過

  • 私院の玄関の階段を手すりを掴まずに上がれる

治療後評価

  • 記載なし

9回目 3月4日

東洋医学的診断

肝虚証

追加治療

なし

経過

  • 昨日は焚き木を運んだ

治療後評価

  • お灸が気持ちいい

12回目 3月14日

東洋医学的診断

肝虚証

追加治療

なし

経過

  • 無理をして、左膝の曲がりが悪くなった
  • 左下腿が全体的にやや腫れている

治療後評価

  • 記載なし

14回目 3月16日

東洋医学的診断

肝虚証

追加治療

なし

経過

  • 左膝周りの腫れも、膝裏の熱感も引いている

治療後評価

  • 軽い

19回目 3月28日

東洋医学的診断

脾虚証

追加治療

なし

経過

  • 左膝と左膝裏が少し腫れて、熱感がある

治療後評価

  • 記載なし

21回目 4月2日

東洋医学的診断

脾虚証

追加治療

なし

経過

  • 今朝は左膝の曲がりが良い

治療後評価

  • 記載なし

まとめ

崖 冒険
私の見解

約2ヶ月間の治療の経過を記しました。

2~3か月前から歩行時に左膝の裏と左ふくらはぎが痛いというのが主な症状でした。

畑仕事やタキギを運んだりするということだったので、少し無理をして症状が出たのではないかと思いました。

経過

  • 3回目、左膝の裏と左ふくらはぎの痛みはほとんどない
  • 12回目、無理をして再度、左膝の裏が痛くなる
  • 14回目、左膝の周りの腫れと膝裏の熱感が引く
  • 19回目、左膝全体が腫れて、熱を持っていいる
  • 21回目、左膝を曲げても痛くない

3回目の来院された時、最初の症状がなくなり、両方の膝の前側が痛くなっていました。

4回目の時は右膝は痛みが軽くなり、左膝の痛みが気になる程度になりました。

しかし、12回目の時、無理をして再び左膝の症状が出ましたが、そこから治療を続けた結果、21回目には痛みはほぼなくなりました。

こちらの患者さんのように、治療をして調子が良くなると無理をして痛みが再発することがあります。

患者さんには毎回言うのですが、「治療をした日はなるべく安静にして、その後も調子が良くても無理をしないで下さい。」といいます。

主な治療

  • 根本的には肝臓を補う
  • 膝周囲の圧痛部の治療
  • 腰、殿部、股関節周囲の筋肉をほぐす

東洋医学では「肝虚証」という時は肝臓を補う治療を最初にします。

この、根本治療をすることで治癒力が上がり、症状が良くなりやすくなります。

あとは膝周囲の圧痛部と腰、殿部、股関節周囲の筋肉をほぐす治療を加えます。

なぜ、腰、殿部、股関節周囲の筋肉をほぐす治療をするのかというと、人間は複数の筋肉と関節を連動させて体を動かしています。

膝が痛いという時は、腰や股関節は痛くないけど、筋肉の緊張があったり、コリがあることが多いので、この辺の筋肉をほぐすことで脚全体に好影響を与えます。そうすると膝の症状も和らいでいきます。

症状が再発することもありましたが、約2ヶ月間で膝の調子が良くなり、歩く姿や体の向きを変える速さが改善しました。

こちらの患者さん、お灸が大好きで、若い頃には家族や近所の方にお灸をしてあげていて、お灸の効果をよく分かっている方でした。なので、お灸をすると「気持ちがいい!」と言われていたのが印象的でした。

辛い膝痛でお困りの方はお気軽にご相談下さい。

今回の症例は、80代女性の左膝裏と左ふくらはぎの痛みの治療の記事でした。