起立性調節障害 子供

起立性調節障害のせいで朝起きられなかったり、めまいや立ちくらみが続いたり……。そんな辛い思いをしている小学生のお子さんと、側で見守る親御さんのためにこの記事を書きました。

病院での診断やお家で今日からできるケアはもちろん、選択肢の一つとして『鍼灸(しんきゅう)』がどう役に立つのか、当院での治療法を交えて分かりやすくご紹介します。

『これからどうしてあげればいいの?』と不安な親御さんが、前向きに一歩を踏み出せるようなヒントを提案します。

起立性調節障害とは?

「起立性調節障害(OD)」という言葉を聞くと難しく感じてしまいますが、ひとことで言うと「立ち上がろうとしたときまたは立っている時に、体の中の血圧や血流のコントロールが追いつかなくなる状態」のことです。

もう少し親しみやすい言葉で、ポイントを噛み砕いてみますね。

なぜそんな症状が起きるの?

成長期の小学生は、体も自律神経もまだ「大人への準備中」で、とってもデリケートです。

  • スイッチがうまく切り替わらない。

  • 脳が一時的な「シャットダウン」状態に

  • 体が頑張りすぎてしまう

  • スイッチがうまく切り替わらないとは 立とうとしたときに、本来ならギュッと締まるはずの血管が緩んだままになり、血液が心臓の方に戻りにくくなってしまいます。

  • 脳が一時的な「シャットダウン」状態とは血液がうまく頭まで届かないため、脳血流不足(脳貧血)になり、めまい、立ちくらみ、ひどい疲れを感じてしまいます。

  • 体が頑張りすぎてしまうとは脳に血を送ろうとして心臓がバクバク(頻脈)したり、逆に血圧が下がりすぎてしまったりすることも。

「気持ちの問題」ではありません

朝起きられないのは、本人のやる気がないからではなく、「体が起きる準備を整えられない」という生理的なトラブルです。体が重くなると学校に行きたくても体が動かない……という状態になることも少なくありません。

起立性調節障害の症状

起立性調節障害の症状は、『どんな症状なのか』を知っておくことが大切です。

典型的な症状

典型的な症状としては、次のようなものがあります。

  • 立ち上がったときのフラつき

  • 朝がとにかく苦手

  • その他の不調

立ち上がったときのフラつき: 急に立ったときや、ずっと立っていると、めまいや立ちくらみがする。

朝がとにかく苦手: 朝どうしても起きられない、体が鉛のように重い。

その他の不調: 常に体がだるい、心臓がバクバクする(動悸)、ひどいときには意識が遠のいて倒れてしまう(失神)こともあります。

時間帯による体調変化

一番の特徴は、「時間帯によって体調がガラッと変わる」ことです。

  • 午前中: 症状が重く、一番つらい時間帯。
  • 午後: 夕方になるにつれて、少しずつ元気を取り戻してくる。
  • 食後: 消化に血液が使われるため、食べた後にフラフラしてしまうことも。

午後から元気になる様子を見て、「午前中はサボっていただけ?」と勘違いされやすいのですが、これもこの起立性調節障害のれっきとした特徴です。

起立性調節障害が小学生に多い理由

「どうしてうちの子が?」と悩まれるかもしれませんが、小学生から思春期にかけてこの症状が出やすいのには、ちゃんとした理由があります。

この時期は、心も体も「子どもから大人へ」と変わる真っ最中。自律神経のバランスが乱れやすかったり、習い事などで生活リズムが変化、勉強や友達関係のストレスが増えたり……。こうしたたくさんの変化が重なることで、体が悲鳴をあげている状態なんです。

起立性調節障害は誤解されやすい

起立性調節障害の症状は周りから見ると誤解されやすい事が多いようです。

「わかってもらえない」という一番の辛さ

特に困るのが、「朝起きられない」「授業中にフラフラする」といった症状が、周りから見ると「サボっている」「やる気がないだけ」と誤解されやすいことです。

  • 本人は「行きたいのに行けない」と苦しんでいる

  • 親御さんも「どう接していいかわからない」と追い詰められてしまう

そんな風に、親子で孤立してしまうのがこの病気の本当に辛いところです。

「怠け」ではない

決して「怠け」ではありません。焦らず、でも「早めに」動くことが大切です。

だからこそ、早めに「体の仕組みの問題なんだ」と正しく理解し、適切なケアを始めてあげることが大切です。 早めに対応することで、体調を整えながら、少しずつ学校生活や勉強のリズムを取り戻していくことができます

起立性調節障害かもと思ったら医療機関を受診

起立性調節障害かも」と思ったらまずは医療機関を受診しましょう。

他の病気との区別をするためにも重要なことです。

受診するべきは何科?

小学生ならまずは小児科の受診をすすめます。

小学生(6〜12歳)の受診のポイント

  • まずは「小児科」へ

  • 「かかりつけ医」が一番安心

  • 「早めの受診」が肝心

  • まずは「小児科」へ 小学生の約5%(20人に1人)が発症すると言われており、小児科医は経験が豊富でスムーズな対応が期待できます。

  • 「かかりつけ医」が一番安心 これまでの健康状態を知っている先生に相談しましょう。いなければ通いやすい近所の小児科で構いません。

  • 「早めの受診」が肝心 早期発見・対策をすることで、学校生活への影響を最小限に抑えられます。

検査は何するの?

検査と聞くと少し身構えてしまうかもしれませんが、どれもお子さんのつらさの原因を突き止め、安心するための診断をする大切なステップです。

具体的には、次のような検査が行われることが多いです。

立ったり寝たりしてチェック

もっとも重要なのは、「横になっているとき」と「立ったとき」で、血圧や心拍数がどう変わるかを比べる検査です(新起立試験やティルトテーブル検査など)。 これで、自律神経がどれくらい頑張れているかを確認します。

「他の原因」がないかの確認

他の病気が隠れていないかを確認するために、以下のチェックも行います。

  • 血液検査: 貧血がないか、甲状腺やホルモンのバランスは崩れていないか。

  • 心電図: 心臓のリズムに問題(不整脈など)がないか。

  • 心の相談: 必要に応じて、心の疲れが体に影響していないかも優しく確認します。


なぜ、いろいろ調べるの?

これらは、ただ病名を付けるためだけではありません。 「貧血のせいだと思っていたら、実は自律神経だった」といった見落としを防ぎ、その子に合った一番の近道(治療法)を見つけるために欠かせないものなんです。

「うちの子だけじゃない、ちゃんと理由があるんだ」とわかると、親御さんもお子さんも、少しホッとできるはずですよ。

起立性調節障害を改善するために家庭でできること

起立性調節障害を改善するためには日常生活を見直すこともしてみましょう。

医療機関を受診して検査することも大事ですが、家庭で出来る事にもチャレンジ。

といっても、無理は禁物なので少しずつですよ。

生活リズムを見直す

まずは早寝を心掛けましょう。

親御さんのお仕事やお子さんの習い事などで就寝時間が遅くなっていませんか?

・20時から21時までに就寝する習慣を身に着けてみませんか。

眠ることは体と頭を回復させる最良の手段です。

食習慣を見直す

お家で今日からできるサポートとして、まずは『体の中の水分とパワーを増やすこと』を目標にしてみましょう。難しいことではなく、ちょっとしたコツで体はぐんと楽になります。

朝一番の「コップ1杯の水分」を習慣に

朝一番の「コップ1杯の水分」を習慣にしてみませんか。

寝起きは体が一番カラカラな状態です。まずは目が覚めたら、コップ1杯の白湯温かいお茶を飲むところからスタート。これで、立ち上がるときに必要な血液のボリュームをキープしやすくします。

朝は体が重いと思うので枕元に前夜から用意しておくのがいいかもです。

朝ごはんは「少量でも、確実に」

朝ごはんは「少量でも、確実に」にトライしてみましょう。

朝は消化器系の働きが活発な時間帯です。朝食を摂ることで一日の活力源になります。

「食欲がなくて食べられない…」という時は、お粥やスープなど、のどを通りやすいメニューで大丈夫。『一口でも食べられたらOK!』くらいの気持ちで、無理なく続けていきましょう。

血流をよくする工夫

「血流を下に溜めない動き」をマスターすると、さらに生活が楽になります。お子さんでも簡単にできる、立ち方・座り方のちょっとしたコツをお伝えしますね。

立ち上がるときは「ゆっくり、段階的に」

急にパッと立ち上がるのが一番の禁物です。脳への血流が追いつかず、フラッときてしまいます。

  • まずは座る: 布団から出るときは、一度座って一呼吸。

  • 頭を低めに: 立ち上がるときは、少しお辞儀をするように頭を低く保ったまま動くと、頭の血圧が下がりにくくなります。

立っているときは「足クロス」と「つま先立ち」

どうしても立っていなければならない時(電車待ちや朝礼など)は、この動きを試してみてください。

  • 足をクロスする: 両足を交差させてギュッと力を入れると、足に溜まった血液がポンプのように押し上げられます。

  • かかとの上げ下げ: つま先立ちを繰り返して、ふくらはぎを動かしましょう。「ふくらはぎは第二の心臓」と言われるほど、血流を戻す力が強いんです。

座っているときは「足をブラブラ」

椅子に座っているときも、足首を回したり、足を前後にブラブラさせたりするだけでOK。これだけで足の血流が滞るのを防げます。

寝るときの「頭の位置」

寝るときに、枕を少し高くしたり、上半身を少しだけ起こした状態で寝たりすると、朝起きたときの血圧の急降下を和らげられることがあります。(※お子さんが嫌がらない程度で大丈夫です。)


家庭で出来る起立性調節障害の改善法を紹介しました。すべてを行うのは最初から難しいものです。

これは出来そうだな!」と思うものを1つまたは2つから始めてみるのがコツです。

起立性調節障害を東洋医学からの視点で

先ほどは生活習慣についてお伝えしてきましたが、家庭でできるケアにプラスして鍼灸(しんきゅう)」を治療の選択肢として考えてみませんか。

鍼灸がお手伝いできることもたくさんあります。『鍼(はり)ってなんだか一歩踏み入れるのが難しそう…』と感じるかもしれませんが、実は自律神経を整えるのが得意なんです。

東洋医学から見た「体の状態」

東洋医学、特に日本式伝統鍼灸では、起立性調節障害をただの血圧の問題ではなく、「経絡と五臓六腑の不調和として考えます。

聞きなれない言葉が出てきますが「こういうものなんだなぁ。」と捉えてもらえれば幸いです。

経絡(けいらく)とは?

「経絡」とは経脈、絡脈を略したもので、この「経絡」に気血というエネルギーが通っています。

「経絡」は体中に張り巡らされているのですが、どこかで不具合が起きると気血の流れが滞って、体の不調として現れます。

鉄道で例えると

電車が気血で、線路を経絡とします。

線路のどこかで故障や不具合があると電車が通れなくなります。そうすると、さまざまな不都合なことが起きますよね。

経絡には体を動かす気血というエネルギーが通っています。

五臓六腑の働き

東洋医学で考える五臓六腑の働きは。

口から入った食べ物は五臓六腑の働きによって、体の成長を促したり、エネルギーを作ったり、または余計なものを排せつしたりする役目があります。

さらに、東洋医学では五臓六腑がお互いに助け合ったり、または働き過ぎないように抑えたりする働きもあります。


日本式伝統鍼灸治療は症状だけにとらわれるのではなく、経絡の不具合を治したり、五臓六腑の働きを調整するのが特徴です。

起立性調節障害への当院の鍼灸アプローチ

ここでは、当院の施術の流れやご家庭でのケアについて解説しますね。

施術の流れ

施術の流れをカンタンに説明しますね。

  1. 予診票記入
  2. 問診
  3. 施術法の説明
  4. 施術
  5. ご家庭でのケア方法を提案
  6. 治療頻度の説明
  7. 次回の予約日時を決める(都合が分からない時は後日の連絡でもかまいません。)

初診は30分程度の時間です。2回目以降は15分~20分程度で終わります。

「そんな、短い時間でいいの?」と不安になるかと思いますが、子供は大人より感受性が高いので軽微な治療が有効です。


ご予約は電話またはLINE(友達追加)で受け付けています。また、相談も受け付けていますのでお気軽にご連絡ください。

当院の鍼のアプローチ

当院で小学生のお子さんにに鍼治療を行う時は「刺さらない鍼」を使用します。

刺さらない鍼」とはこのような鍼です。

鍉鍼 小児鍼
(左)イチョウ型の小児はり(中)銀の鍉鍼(右)金の鍉鍼

(左)イチョウ型の小児はりは主にお子さんに使用する鍼です。これは、ヒフを撫でたり、さすったりして気血の流れを良くします。

金と銀の鍉鍼はツボに当てて操作します。全く刺さらないので恐怖感なく鍼治療を受けることが出来ますよ。


鍉鍼は大人の方にも使用します。鍼が初めての方、鍼が怖い方、心療内科系疾患、疲労に使用します

当院のお灸のアプローチ

当院では小学生のお子さんには温灸ツボ灸を使用します。

温灸 ツボ灸 台座灸
(左)温灸(中)ツボ灸(右)台座灸

温灸やツボ灸はホンワリとした温かみが感じるお灸です。

温灸はヒフに近づけたり、遠ざけたりまたはヒフ上をスライドして温熱を体内に浸透させます。

ツボ灸はモグサを燃やすと筒の中にジワジワと熱が伝わります。時間的には1分半~2分程度です。もし、熱い場合はすぐに取ります。


子供さんの背中に温灸をすると「気持ちいい。」という声が聞かれますよ。

治療回数の目安

起立性調節障害の場合、最初は週に1回~2回ほどの間隔で来院されるケースが多いです。

もちろん症状が辛い場合は間隔を短くしてもかまいません。

そうすると少しずつ調子が良くなってくるので、その時は10日~2週間に1回の間隔にして様子をみます。

8割程度良くなれば心配ないので治療はいったん卒業となります。


また再発ということもあるのでその時は早めの来院をおススメします。

家庭でできるケア

当院では家庭でも出来るケアをお勧めしています。

これは治療効果を持続させるためです。

手段は簡単です。市販されているカンタンなお灸をしてもらえばいいです。

でも、どこにそのお灸をすればいいの?」と疑問がおありでしょう。

大丈夫です!私がその子に合ったツボを選定して印を付けるのでそのツボにお灸をしてもらえば良いです。


お灸の指導もしますので安心してください。

まとめ

起立性調節障害は鍼灸が適応する疾患です。医療機関の診断または治療、生活習慣の改善と合わせて治療を行うことで改善するので安心してください。

今回の記事をまとめましたので、ご覧いただければ幸いです。

起立性調節障害とは?

  • 自律神経のスイッチがうまく切り替わらない
  • 脳への血流が足りず(脳貧血)、めまいや激しい疲労が起こる。
  • 脳に血を送るために心拍数が急増(頻脈)したり、血圧が急低下したりする。
  • 生理的トラブル

起立性調節障害の症状

  • ふらつき、めまい
  • 朝、身体が重く起きられない
  • 動悸、失神
  • 午前中がとにかく苦手

起立性調節障害が小学生に多い理由

たくさんの変化が重なることで、体が悲鳴をあげている状態

起立性調節障害は誤解されやすい

  • 行きたいのに行けない苦しみ
  • 怠けではなく「体の仕組みの問題」

起立性調節障害かもと思ったら医療機関を受診

  • 小児科またはかかりつけ医を素早く受診
  • 新起立試験やティルトテーブル検査
  • 血液検査
  • 心電図
  • 心の相談

起立性調節障害を改善するために家庭でできること

  • 早寝にチャレンジしてみる(20時~21時の間
  • 朝起きたたらコップ1杯の白湯か温かいお茶
  • 朝ごはんは少しでも食べる習慣を身に着ける
  • 食欲がない時はお粥やスープでも良い
  • 立ち上がる時はゆっくりと

起立性調節障害を東洋医学からの視点で

  • 経絡の不具合で体に不調が起こる
  • 五臓六腑の働き低下で不調が起こる

起立性調節障害への当院の鍼灸アプローチ

  • 刺さらない鍼を使用(鍉鍼や小児はり)
  • お灸をは温灸、ツボ灸を使用
  • 家庭でのお灸治療をオススメします

起立性調節障害はお子さんにとっても、親御さんにとっても辛い症状です。今回の記事が改善の一歩になれば幸いです。

最後まで読んで頂きありがとうございました。